アーミーナイフといえば、赤の十字マークの十徳ナイフを思い浮かべます。スイス・アーミーナイフと呼ばれているヴィクトリノックスのナイフです。
軍用ナイフというと、アーミーナイフと同じ意味なのに思い浮かべるのはスイス・アーミーナイフではなく違うナイフを思い浮かべます。皆さんが思い浮かべたのはUSMCでしょうか?
あるいはランボーナイフのようなサバイバルナイフを思い浮かべるかもしれません。
一口に軍用ナイフと言っても用途によって様々な種類があるのです。
軍用ナイフ アーミーナイフ の種類
A、ツールナイフ
B、ファイティングナイフ
C、サバイバルナイフ
D、マチェット
E、銃剣(バヨネット)
A、ツールナイフ
缶詰を開けたり、パッケージを開く、銃などをメンテナンスするためのツールが一体となったナイフが軍でも使用されています。
先述のスイス・アーミーナイフ=ビクトリノックスで有名な十徳ナイフや、レザーマンが有名なペンチにナイフなどがついたツールナイフがあります。
ヴィクトリノックス
1890年代からスイス陸軍への納入を開始し1940年代にはアメリカ軍に大量納入しその後世界的な人気を博したヴィクトリノックス、その後もソルジャー・アルミハンドルがスイス軍に制式採用されるなどされています。
ヴィクトリノックス ソルジャー
レザーマン MUT
米軍からの要望に基づき、軍用ライフル銃のメンテナンス機能に特化したツール。
Military Utility Toolを略してMUT。
B、ファイティングナイフ(タクティカルナイフ、コンバットナイフ)
いわゆる戦闘用のナイフです。
現代では戦闘専用のナイフというのは少なく、カランビットや一部ダガーが戦闘専用のナイフと言えるでしょうか。塹壕戦での近接戦闘を主眼として作られたナックルガード付きのナイフ、トレンチナイフもファイティングナイフと言えるでしょう。
それ以外はサバイバルナイフであり、戦闘にも使えるというスタンスのナイフが多いようです。
ランドール
第二次大戦中、米軍に制式採用された、ランドールM1ファイティング
朝鮮戦争、ベトナム戦争で使用された、ランドールM14アタック
バークリバー ブラボー1
日本ではもっぱらブッシュクラフト用として使用されるブラボー1。
その実、米国海兵隊が様々なメーカーのナイフを購入してなされたテストを通過したナイフを元に設計された軍用ナイフ。ブラボーという名称からも伺えます。
ボーカー Applegate
英国特殊部隊に採用されたナイフ。通常モデルはダガーのため日本では違法。
クリスリーブ グリーンベレー
グリーンベレーの名で知られる米陸軍特殊部隊群の名をモデル名にしたフィックスドブレード。
J.F.ケネディ政権下の特殊部隊司令官ヤーボロー准将を称え別名“The Yarborough”ナイフと呼ばれるこのモデルはあの特殊部隊隊員の資格を得る為のSpecial Forces Qualificationの卒業者のみに実際に配られるモデルと同スペックで製作されたモデルです
湾岸戦争の頃に採用された コールドスチール Recon Scout
オンタリオSP-6ファイティング
C、サバイバルナイフ
ランボーナイフで一躍有名になりましたが、用途としては生き残りのためのナイフ、森の中で生き抜くためのナイフです。そのため通常のナイフの用途、食材やパッケージを切るなどの他に、薪割り、土掘りなどさまざまな用途での使用が想定されています。
ランボーナイフで流行ったハンドルを筒状にしてその中に釣り糸や針などのツールを入れるといったタイプのナイフは現在ではその強度的な問題と、ハンドルに入れるツールはあえてハンドルに入れなくとも、例えばシースに入れれば良いといった事があり、現在では実用としてはすっかり廃れてしまい、オンタリオ社のスペックプラスシリーズのようなナイフが現在では主流となっています。
KA-BAR(ケーバー) USMC
第二次世界大戦中にその形が定まったUSMC。
カミラスやKA-BARのものが有名です。
マセリン版 USMC レギオン
ケーバー製では設定のないグレーのブレード、ハンドルがウッド製となったイタリアのマセリン社製ナイフ。
フランス軍に採用された実績がある。
オンタリオ SP-2 エアフォース・サバイバル
戦闘機が不時着した際などに生き残るためのナイフとして空軍に採用されている短めのサバイバルナイフ
FALLKNIVEN【ファルクニーベン】F1
スウェーデン空軍に正式採用されたF1
ベンチメイド #140SBK ニムラバス
アメリカ陸軍特殊部隊用の装備キットに入っている。
SOG Seal Pup Knife M37
ベトナム戦争時のMACV-SOGを原型に市販化されたナイフ。
その後、海軍特殊部隊に採用されている。
ランボーナイフ
サバイバルナイフの代名詞として一世を風靡したランボーナイフ。
その人気のためか同様なタイプのナイフが軍用に開発されました。
ランボーナイフの元となったランドールのM18アタックサバイバル
ランボーナイフが一世を風靡した時代、米軍と共同開発によって制作されたバック社のバック・マスター
NATO軍が採用したAITORのジャングル・キングI
D、マチェット・ククリ
ジャングルの中、藪を払って道なき道を進んでいくために第二次世界大戦やベトナム戦争ではマチェットが使用されました。
オンタリオ 6120 1-18SBK マシェッテ18インチ
アメリカ軍へ納入実績のあるマチェット。
ククリ
ネパールのグルカ族が使用していたナイフで日常は藪払いなどに利用され、かつ戦闘時にも使用される。山岳戦、白兵戦に長けたグルカ族は傭兵としてフォークランド紛争などに参戦。その過程でククリナイフも注目され世界的に広まった。グルカククリとも呼ばれる。
E、銃剣(バヨネット)
銃に取り付けるナイフ。初期の銃は発射から次の用意までに時間がかかるため、その間に突撃された場合を想定し、銃の先端にナイフを取り付ける銃剣が考案され、広く使用されましたが、その後、銃の技術革新に伴い、白兵戦のやりかたが変わり大幅に衰退しましたが、現在も銃剣そのものは残っていますが初期の銃剣と現代の銃剣では大きく形が変わっています。
当初(第一次世界大戦1910年代)の銃剣はその名の通り短い剣と呼べる40cmほどの長さの刃渡りの剣であったのに対し、現在の銃剣は大幅にブレードが短くなり、ダガー状のものもしくはサバイバルナイフの形に着剣装置がついた形となっており、銃剣としても使えるナイフといえます。
オンタリオ M7やM9が有名ですが、日本では銃剣は違法であるため手に入りません。
銃剣(バヨネット)が欲しい方は、着剣装置が付いて無い合法のナイフをどうぞ。
T-1256 チャレンジャー・ナイフ
T-1257 スペシャル・フォース・ナイフ
軍用ナイフ アーミーナイフ まとめ
軍用ナイフは世界大戦中に試行錯誤の元、USMCやSOGのナイフが形作られ、その後ランボーブームの中、ハンドルが筒状のナイフが一世を風靡、現在は玉石混交で様々なメーカーの様々なナイフが採用されているようです。
また、シースナイフは支給される場合が多く、フォールディングナイフは個人で用意するようです。特殊部隊などは各個人が好きなナイフを使います。
日本はどうか?というと、自衛隊は小隊ごとに申請を上げて購入するようです。
軍に採用されたとは言えませんが、ベンチメイドのアダマスシリーズがネイビーシールズファンデーション(海軍特殊部隊財団)に提供されています。
ベンチメイド #275BKSN
ベンチメイド #375BK
ナイフに限らず便利なものは軍用で開発されて、その後民間に広がっていきます。
軍用ナイフといっても対人戦闘のファイティングナイフばかりではありませんから、一般の人がキャンプであるいは山に入って便利に使えるナイフもあります。軍で使用しそのフィードバックによって使い勝手が良くなっています。
なにより軍で使用されているという事はある種のロマンを感じさせますね!
ぜひお気に入りのナイフを見つけてください。