ナイフの価格ってものすごく安い2~3千円のものから10万円オーバーのものまであって、なんでこんなに価格がちがうの?って思いませんか?ナイフの価格を決める大きな要素は「どこで作っているか」と「材料」。では、ナイフの産地は?という大きくは「アメリカ」「ヨーロッパ」「中国」の3つでしょう。
中国製:安くてそこそこの品質のナイフからハイスペックでリーズナブルなナイフを生産。
中国製のナイフは下記の3つに分けられると思います。
A,ものすごく安いが品質にはばらつきがあり仕上げや完成品のチェックが今ひとつB,そこそこ安価で品質もそれなり
C,ハイスペックの製品をアメリカ製の半額から3分の2程度の価格
中国は大量生産で格安のナイフを世界の国々に供給しています。ひと昔前までは安かろう悪かろう…だったものが、最近では高精度の工作機械によって品質の高いナイフの生産も可能となってきました。
ただし、ブレードの焼入れについては精度にばらつきがあり、当たりハズレがある…というのが中国製格安ナイフ、中国製鋼材の評価です。
そんな弱点をアメリカ製の鋼材や日本製、ヨーロッパ製の鋼材を使用してクリアした中国メーカーも最近では出てきました。
リーズナブルなところでは「リアルスチール」、高級(ハイスペック)なところでは「KIZER」「We Knife」などがあります。中国製鋼材は8Cr13MoVステンレスなどがあります。
CRKTはほとんどが中国製でまれに台湾製が含まれます。
上記の中ではBに当てはまり、中国製品の中では品質のチェックや精度は良い方だと思います。
ボーカーのマグナムシリーズなど中国製の特に安い製品は
Aにあてはまり、ひどいものは山秀ではじいています。
1万円以下のナイフはどのメーカーのものでもほとんど中国製です。
山秀で取扱のないメーカーについて詳しくは分かりませんが
スミスアンドウェッソンやカーショウ、ガーバーも中国製が多かったと記憶しております。
ヨーロッパ製:1万円前後のものからハイスペックの高品質なナイフを生産。
ヨーロッパでは刃持ちが多少劣っても、研ぎやすく研いだらよく切れる刃物が好まれるため、製品も柔らかめの鋼材のナイフが多くラインナップされています。
そういったヨーロッパの需要に応えるためか、ヨーロッパで製造されている鋼材は研ぎやすい鋼材が中心となっています。
有名なスウェーデン鋼の他、オーストリアやドイツの鋼材などがメジャーです。
アメリカをメインの市場としている製品を製造する工場ではハイスペックなナイフも生産されています。
品質が特に良いのはLion Steel 社製品、価格も2万円以上からのハイスペックモデルが中心となります。
同社は各メーカーの下請けもたくさんしており
FOX、POHL FORCEなどもLionSteelで生産されているモデルがたくさんあります。
その他、ボーカー、マセリン、オピネル、ムエラ、モーラなどは価格相応の品質だと感じます。
その中でもムエラはスタッグなどをハンドルに使ったシースナイフに強みがあり、モーラはスウェーデン鋼の産地であることから、切れ味に優れていると思われます。
ヨーロッパ鋼材で研ぎやすいものとしてはスウェーデンはサンドビック社の12c27、X50CrMoV15、オーストリアはボーラー社のN690など、高級鋼材としては同じくボーラー社のELMAXなどがあります。
アメリカ製:ハイスペックなナイフを生産。
アメリカでは様々な需要があり、ハイスペックあり、クラシカルなナイフや、ヨーロッパのような研ぎやすいナイフもある、玉石混交状態でメーカーも多数あります
Buckの110やCaseなどクラシカルなナイフはアメリカで生産されていますが、品質は価格なりです。
やはりアメリカ製といえばハイスペックナイフの製造メーカーが多いのが特徴です。
ホーグ、ZT、クリスリーブ、スパルタンなどがハイスペックナイフと言えます。
品質、精度は素晴らしいですが価格もそれなりに高いです。
ウィリアムヘンリーはハイスペックというよりラグジュアリー(豪華)なナイフという位置づけとなります。
ベンチメイドは上記ハイスペックナイフには品質、精度で劣りますが、量産メーカー、実用ナイフとしての品質と価格、そしてアクシスロックという使い易い独自のロック機構で、アメリカの折り畳みナイフのトップシェアを取っています。
多くのメーカーは様々な国で生産しており、その中でもアメリカで生産されたものについては、そのメーカーの高級ラインナップである場合がほとんどです。
高級鋼材としてクルーシブ社の粉末鋼(CPM-S35VNなど)があります。
日本は?
では日本はというと、海外メーカーの製品を生産している工場が幾つかありますが、日本のメーカーとしてはGサカイ、Mカスタ(丸章工業)、モキなどがあります。
日本製ナイフは少し前の感覚では品質が良く感じます。もちろんその通りなのですが、量産メーカーとしては高精度の工作機械を導入していないため、アメリカ、ヨーロッパ、中国のハイスペックナイフの精度が出せません。
唯一の例外はロックステッド社(石田工業)のナイフで、同社のナイフは世界で見ても最高品質のナイフだといえます。価格も相応に高額なものになっています。
日本製の鋼材としては愛知製鋼のAUSシリーズ(AUS-8など)、440C、武生特殊鋼のVG-10、高級鋼材としては日立金属のZDP189などがあります。
台湾製ナイフ
台湾製のナイフは安価な中国製品(B)よりは品質がいいと思います。
オンタリオのRAT-1、RAT-2フォールディングナイフ、コールドスチール他、CRKTやボーカーも一部製品は台湾製です。
最近はよほど安いナイフでなければ価格なりに使えるナイフが多くなりました。
実用と割り切れば安いナイフは扱いやすいと思いますし、懐に優しく、柔らかめの鋼材で研ぎやすいので初心者にもおすすめです。
ぜひお気に入りの一本を見つけて下さいね。