ナイフの基本

ナイフの鋼材 2

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現在のナイフの作り方、ストックアンドリムーバルを始めたナイフの神様、ラブレスは車の板バネを利用して最初のナイフを造りましたが、ナイフの鋼材はD2鋼や154CMなど工具鋼からナイフに適したものが流用されているもの、VG-10のように刃物用に開発された鋼材などがあります。

ナイフの鋼材は大きくはステンレスと炭素鋼(ハガネ、カーボンスチール)に分けられます。
ステンレスはハガネにクロム13%以上加えて錆びにくくした鋼材のことをいいます。クロム以外にもバナジウム、モリブデン、タングステンやニッケルなどを加えることがあります。

近年ではクロムの含有が13%未満のステンレスともハガネとも言えない鋼材が出てきました。ハガネよりは錆びにくいけれどもステンレスほどではない鋼材が増えた結果、これはステンレス、これはハガネといったような明確な区別ができない鋼材についてはセミステンレスなどと呼ばれています。

近年よく使われる鋼材はAUS8とほぼ同じ組成の中国製の鋼材8Cr13MoV、一昔前まで最先端の鋼材だったバランスの良い鋼材440C、カスタムナイフによく使用される高級鋼材ATS-34、粉末冶金鋼CPM-S30Vなどがあります。

ナイフの鋼材に求められる機能は、切れ味、耐摩耗性(刃持ち)、靭性(折れにくさ)、耐食性(錆にくさ)ですが、切れ味を良くするためにカーボンの含有量を上げると錆びやすくなるなど、すべての要素を満たした鋼材は無く、用途によって鋼材に向き不向きがあります。
鋼材の特性を知って用途にあった鋼材のナイフを手に入れてくださいね。

ナイフに使われる鋼材

ナイフの鋼材は色々ありますが、各メーカーがメインで使用している鋼材くらいはどんなものなのか抑えておきたいところ。
HRCは硬度を示し、一般的には55前後では柔らかで非常に研ぎやすく、60を超えると途端に固くなり研ぎにくさを感じるようになります。

440C 58-60HRC

元々はボールベアリングやバルブ、歯車などのために開発されたステンレス鋼。高炭素でクロムの含有率も高いため、切れ味良く耐食性に優れ、研ぎやすい鋼材。以前はナイフ業界で最も人気のある鋼材でした。ボーカープラスなどに採用されています。

CPM-S30V 58-60HRC

米国クルーシブ社でナイフ用に開発されたステンレス鋼材。440C鋼材と同等あるいはそれ以上の耐食性(錆にくさ)でありながら、刃持ちは440Cを大きく上回るバランスの良い高級鋼材です。ベンチメイドではハントシリーズに採用され、その高評価をもって2017年の新製品からメイン鋼材として採用されています。

VG-10 58-59HRC(V金10号)

日本で開発された刃物用のステンレス鋼材。刃持ちが良く耐食性に優れ、研ぎやすくバランスの取れた鋼材です。メイドインジャパンのスパイダルコ製品や、ステンレス包丁にも良く使用されています。海外でも非常に評価の高い鋼材。

14C28N 55-62HRC

スウェーデン鋼で有名なスウェーデンのサンドヴィック社で開発されたステンレス鋼材。刃持ち、耐食性に優れた鋼材です。リアルスチールなどのナイフに使用されています。

X50CrMoV15 57-58HRC

ヨーロッパでは包丁などにも広く使われているドイツ製ステンレス鋼材。耐食性に非常に優れ、研ぎやすく錆びにくい鋼材です。ムエラなどのナイフに使用されています。

AUS-8 56-58HRC(8A)

研ぎやすく扱いやすい日本製のステンレス鋼材。CRKTの台湾製ナイフやオンタリオのRAT-1などに使用されています。

8Cr13Mov 58-60HRC

中国で開発されたステンレス鋼材。AUS-8に近い組成。個人的な意見では中国製ナイフは焼入れにハズレがあると思っています。運悪くハズレなければAUS-8相当の性能をしっかり発揮するでしょう。CRKTのナイフなどに使用されています。

D2 60-62HRC(SKD11、SLD)

高炭素、高クロムの工具鋼で非常に刃持ちが良く、靭性に優れた鋼材。一般的なステンレス鋼材よりも錆びやすがハガネほどではなくセミステンレスなどとも呼ばれます。刃持ちが良い反面、硬度が高いため研ぎにくい鋼材ですが、その切れ味と刃持ちの良さから根強い人気があります。高い靭性からブッシュクラフトナイフ(リアルスチール3711)やベンチメイド社の頑強なフールディングナイフ、275BKアダマス・マニュアルなどに採用されています。

ATS-34

ラブレスが使い始めたことで有名なATS-34ステンレス鋼材。カスタムナイフメーカーが良く使う日本製の鋼材です。

154CM 58-61HRC

154CMステンレスはナイフの神様ラブレスがナイフに使用し、その後ナイフ業界でよく使用されるようになったアメリカのクルーシブル社で開発された鋼材。

近年までベンチメイド社のメイン鋼材として使用され、耐蝕性(錆にくさ)、刃持ちに優れた鋼材です。
バランスの良い440C鋼材と比べて同様のバランスの良さに加え、さらに靭性に優れています。

※編集中

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